版画、ポスター
ル・コルビュジエが版画に本格的に取り組んだのは第二次世界大戦後のことでした。美術雑誌『カイエ・ダール』をゼルヴォスと共同で出版していたテリアードが、著名な画家たちの版画集を出版していましたが、その一環としてル・コルビュジエにも声が掛かりました。マティスやレジェといった画家たちと肩を並べることになったわけで、彼はさぞかし喜ばしく思ったことでしょう。このときの作品が『直角の詩』で、詩と絵の両方を本人が手掛けています。
『直角の詩』を皮切りに、ポートフォリオのスタイルでの版画集を制作した他、1枚ものの版画や、数点連作の版画なども制作しています。
彼は気に入った絵柄や、気になるモチーフなどを何度も繰り返して描きます。中には長年にわたって、同じ絵柄が登場することもあり、彼が何に関心をもっていたか推し量ることができます。
版画集は、他に『二つの間に』『パニュルジュ』『海はいつもそこに』『…行列』『小さな告白』『ユニテ』の5点を制作しています。いずれも、自らが作ったキャラクターや繰り返し描いたモチーフなどが、シンプルな描線で表現されています。
また、彼は各地で展覧会を重ねましたが、それら展覧会のポスターも自らがデザインして制作しています。これらはまずパッと見て目につくこと、印象に残ることを第一に、単純化された大胆な構図と色彩によって、インパクトのある作品となっています。