「二つの間に」から プロローグ
版画集『二つの間に』は、日々の思いを綴った詩と挿図で構成されている。これは冒頭の部分。描かれているのは「牡牛」を象徴する角のかたち。「牡牛のしるしが現れたのは60代のことだ」と記している。ル・コルビュジエの60代とは1947年から1956年までの間。第二次世界大戦が終わり、建築では《マルセイユのユニテ》《デュヴァルの工場(サン・ディエ)》《クルチェット邸(アルゼンチン)》などを手掛け、チャンディガール(インド)での大規模な州都の創造に関わっていた時期である。美術作品では、詩画集『直角の詩』をつくっている。制作意欲にあふれ、華々しい活躍を見せるル・コルビュジエは、自身で「この年代には、人生はきら星のごとく光り輝いた」と語っている。まさに充実の創作活動を行う自分に、牡牛のような力強さを投影させている。
- カテゴリー
- 版画
- 年代
- 1964
- 技法
- リトグラフ
- サイズ
- 430 x 356