家具

ル・コルビュジエの家具デザインはスイス時代にさかのぼります。処女作である《ファレ邸》、両親と自分のための住まい《ジャンヌレ・ペレ邸(現メゾン・ブランシュ)》などで、戸棚や椅子をデザインしています。それらは、木製の昔ながらの素朴な雰囲気をもったもので、後に彼が制作に携わった家具とは大いに異なっています。

その後、ル・コルビュジエが設計した室内に好んで置いたのは、トーネット社による籐の曲げ木椅子「No.209」でした。軽く丈夫でシンプルなこの椅子を大変気に入り、彼は自宅でもこれを使用していました。

1927年には、シャルロット・ペリアンがル・コルビュジエのアトリエに入所します。彼女はすでにインテリアデザイナーとして精力的に活動を行っていました。ペリアンを中心に、ル・コルビュジエと再従弟ピエール・ジャンヌレが協働して作り出した家具が、現在でも生産され、「LC」シリーズとして知られる一連の椅子やテーブルです。

なかでも、座る姿勢によって背もたれが自在に動く肘掛け椅子「スリングチェア(LC1)」、分厚いクッションが体をしっかりと包み込み、安定感のあるソファ「グランコンフォール(LC2)」、人体の曲線を活かしたカーブによって、椅子を起こしても倒してもくつろげる寝椅子「シェーズロング(LC4)」などは、とくによく知られています。

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