非実現プロジェクトのCG 『直角の詩』と《ロク・ロブ計画》

《ロク・ロブ計画》案

公開:2023年4月
制作:黒沢宙太
内容:
毎年1作品ずつ、実現しなかった計画をスケッチや図面をもとにCGで制作し、公開しています。
今年は昨年制作しました《ロク・ロブ》のCGをもとに、そのインテリアをさらに作りこんでお見せいたします。
《ロク・ロブ》はバカンス用ホテル・アパートメントで、ル・コルビュジエが好んで滞在し、《休暇小屋》や《ユニテ・ド・キャンピング》などをつくった南フランスのカップ・マルタンの地に計画されたものでした。
このプロジェクトを計画している同じ時期、ル・コルビュジエは版画による詩画集『直角の詩』を制作していました。詩のなかでは全てを支配する太陽や自然と人間の関係と、そこにつくられる家について語っています。彼の言葉が生み出すイメージと《ロク・ロブ》の建築とを結びつけながら、ル・コルビュジエの空間を味わいます。
また、地中海に面した急な崖に張り付くように建てられるはずだった《ロク・ロブ》の室内にどのように日差しが入ってくるのかをシミュレーションしてみました。壁面に『直角の詩』の版画作品を掛け、さまざまな日差しの中で鑑賞してみます。ル・コルビュジエは自然光で美術作品を鑑賞することを望みましたが、実際には作品に悪影響を及ぼす紫外線の下での作品鑑賞は推奨されませんので、バーチャル空間の中でこそ可能な鑑賞体験となります。