世界文化遺産
サン・ディエのデュヴァルの織物工場
Manufacture, Usine Claude et Duval

ル・コルビュジエが手掛けた唯一の工場。
施主は、チューリッヒ理工科大学出身のエンジニアで、ル・コルビュジエの長年の友人であるジャン・ジャック・デュヴァル氏である。
彼は故郷サン・ディエ(フランス北東部)が戦争で被災したことを受け、ル・コルビュジエに街の再建を頼もうと尽力するが、反対を受けて実現には至らず、そこで、デュヴァル家が営んできた織物工場の再建をル・コルビュジエに依頼することとした。
建物は全長80m、幅12.54m、高さ18mである。妻壁は53cmの厚みがあり、ここには旧工場で使われていた石が再利用されている。
1階には駐車場と管理人室があり、作業室・倉庫はピロティの上に建てられ、最上階には屋上庭園と事務室が設けられている。
ル・コルビュジエがつくった独自の尺度「モデュロール」が、寸法を決定するために採用されている。
この時期、ル・コルビュジエは多忙でアトリエを留守にしていたため、所員であったアンドレ・ヴォジャンスキーが中心となって、デュヴァルと打ち合わせを交わして設計をすすめた。
街の日照を検討したうえで、特徴的な「ブリーズ・ソレイユ」(日除けのルーバー)を提案したのはヴォジャンスキーである。
