世界文化遺産
ナンジェセール・エ・コリのアパート
(ポルト・モリトーの集合住宅)
Immeuble locatif a la porte Molitor, 24 rue Nungesser et Coli

隣接する建物と同時期に開発された 南隣はM.ルー・スピッツによるアパルトマン(1931年)で、北隣はシュナイダーによるもの(1931年)であり、真ん中に建つル・コルビュジエのアパルトマンは両隣のアパルトマンの既存の壁をうまく利用している。
ファサードを印象づけるのは黒いフレームで縁取られた大きなガラスとガラスブロックによる窓である。
東側にナンジェセール・エ・コリ通り、西側にトゥレル通りがあり、表・裏が生じないように、両方に面したファサードは全く同じ顔をしている。
パラペットの高さ、通り側壁面の一致、バルコニーや柱間の窓の大きさや配置は規則で決められていて、それに従ってデザインされた。
平面はΣ型で、塞がれた部分は中央部が吹抜けになっていて、光を取り入れる塔の役割を果たし、内側の部屋にも光が降り注ぐ。
コルの部屋を見ると、大部分は塗装仕上げだが、アトリエ部分は煉瓦、石積みの壁面を露出させている。
セントラルヒーティング、洗濯&乾燥室、地下のガレージ、使用人用の庭に面した1階と地下の部屋など、「新しい生活をかなえます」と宣言した言葉通りの理想的な設備を整えた。
世界恐慌のあおりをうけ、開発業者からの支払いが不能、居住者が入らないなどの窮地を、友人のピエール・ウィンターやフランソワ・ド・ピエールフウらが助けた。
ル・コルビュジエはこのアパルトマンの最上階と屋上を独占し、片方をアトリエ、片方を住まいとしている アトリエは、煉瓦、石積みの壁面を露出させている 住まいの部分は妻イヴォンヌからのアイデアもとりいれた。
自宅のアトリエはヴォールト天井で、高窓から光が差しこむ。「芸術家の家案」(1922)、「ヴォールト屋根の自宅案」(1929)で同様のアトリエを考えており、ここにおいて彼はついに憧れのヴォールト屋根の家を手に入れた。
1948年、1962年にリノベーションが行われた際、サッシュは取り替えられた。
