世界文化遺産
イムーブル・クラルテ
Immeuble Clarte

鉄やガラスを扱うエドモン・ヴァネールとの協働ですすめた集合住宅で、黒い外観とオレンジ色のシェードが印象的である。
《イムーブル・クラルテ》《スイス学生会館》《ナンジェセール・エ・コリのアパート》の三つには、黒い鋼製の窓枠、スライディング窓、ガラスブロックを使った不透明な表現など、共通する表現が多く見られる。これらに共通するのが、エドモン・ヴァネールである。
《イムーブル・クラルテ》は、ル・コルビュジエが「イムーブル・ヴィラ」(1922)で提案した垂直型の共同住宅の実現第一号であった。
9階建て45戸の集合住宅には、さまざまなプランがあり、二層吹抜けタイプの構成はユニテ・ダビタシオンを想起させる。アパート断面のイメージスケッチ、屋内にむき出しのH型鋼柱や鋼管製手すりなどは船を思わせ、ここにも、豪華客船のイメージからスタートした《ユニテ》との共通点が認められる。床や階段の踏み板はガラスブロックとなっており、階段塔を通してトップライトからの光がどこまでも入るように工夫され、「クラルテ(=光)」という名前のとおり、階段室は非常に明るい。こうしたファサードの処理、ガラスブロックの使用、階段塔の光の処理はそのままパリの自宅アパートへと引き継がれて行く。
