世界文化遺産
サヴォア邸と庭師小屋
Villa Savoye et loge du jardinier

《サヴォア邸》の敷地に入ってすぐ、門の横に建つ小さな白い住宅が《門番の家》である。この地を見学に訪れる人は、この住宅を視界の端に留めながらも、その多くは通り過ぎてしまう。しかし、この小さな住宅にも彼の新しい住まいへの提案がなされている。
1階にはシャワールームや洗濯室、倉庫があり、外階段(内階段は無い)を上がると、2階に玄関、リビングルーム、キッチン、寝室、バスルームがある。
小さいながらも、「新しい建築の5つの要点」のうち屋上庭園以外の要素がきちんと盛り込まれている。
ル・コルビュジエが当時関心を持っていたテーマの一つに、量産可能な小住宅があった。
《サヴォア邸》の時期には、いくつかの先行、あるいは同時進行していたプロジェクトがあったが、1927年にはドイツの《ワイセンホーフ・ジードルング》で1家族用、および2家族用の住宅を手がけ、1928年には「ルシュール住宅案」において、プレハブ素材と現地産の石などの素材を用いた、低所得者層向けの住宅計画などに取り組んでいた。
《門番の家》は、この系列上にあるコンパクトな住宅で、こうした住宅の工夫は《ユニテ・ダビタシオン》や《カップ・マルタンの休暇小屋》《ロンシャンの巡礼者用施設》といった住空間作りへと展開されていく。
