世界文化遺産

ラ・ロッシュ+ジャンヌレ邸

Maisons La Roche - Jeanneret

所在国:フランス
竣工年:
施主:ラウル・ラ・ロッシュ氏、アルベール・ジャンヌレとロッティ・ラーフ夫人

独身のラウル・ラ・ロッシュ氏の家と、ル・コルビュジエの兄であるアルベール・ジャンヌレ夫妻の家の2棟続きの住宅である。

この住宅では様々な建築的試みがなされている。まずここで、初めてピロティが実現された。ギャラリー棟が持上げられ、それによって、浮遊するボリュームが生まれた。

《ラ・ロッシュ邸》は、吹き抜けの大きな玄関ホールを中心に階段、ブリッジ、見下ろし台などが配され、ラ・ロッシュ氏のコレクションを展示してみせるためのギャラリー部分では、湾曲した壁沿いにスロープを設けることで、散策へといざない、空間に時間性を導入することで、「建築的プロムナード」を演出している。

さらに、ラ・ロッシュ+ジャンヌレ邸の平面には、幾何学的に整理された構図の中で、いくつもの線が重なり合いながら、線が連綿とつながっていく彼の絵画作品の表現と相通じるものが読み取れる。

そして、白を基調に、陰部分には暗めの色、明るい壁には赤、というように、色彩による建築的カモフラージュが試みられている。

この住宅は、ル・コルビュジエによる「住宅構成の4つの型」の第一番目に挙げられ、「各構成部分が、その有機的構成理由に従って、他の部分に隣接する」、「内部が自ずから広がり、その結果として外部が決定される」という手法で構成されている。

もともとは別の3者のための計画であったが頓挫し、施主が替わったという経緯がある。ちなみに、同敷地の右隣には「ヴォワザン自動車・飛行機工場」の支配人であるモンジェルモン氏のための住宅を計画したが実現しなかった。

現在はル・コルビュジエ財団本部の建物となっており、《ジャンヌレ邸》は事務局、資料室となり、《ラ・ロッシュ邸》は一般公開されている。