企画展:「ル・コルビュジエ 海への憧れ」
紹介作品:ル・コルビュジエによる絵画、参考写真など38点
開催趣旨:
山に囲まれた雪深い街ラ・ショー・ド・フォンがル・コルビュジエの生まれ育った故郷です。近くにヌーシャテル湖という大きな湖があるものの、彼が海を見たのは二十歳になってからでした。30歳のとき、彼は故郷を離れてパリに定住して活動をはじめますが、友人の画家アメデ・オザンファンに誘われて訪れたのをきっかけに、大西洋に面したアルカション湾のピケ村で繰り返しバカンスを過ごすようになります。40代では南米やアメリカでの講演旅行のために何度も大西洋を渡ります。また家具職人ジョセフ・サヴィナの工房のあるブルターニュにたびたび訪れたことから、奇岩のある海岸の景勝地にも足を運んでいます。
そして、第二次世界大戦後、60代になると地中海に魅了されます。友人ジャン・バドヴィッチが所有するアイリーン・グレイ設計の住宅《E1027》に滞在したことで、その地(カップ・マルタン)を気に入り、ついに自分の休暇小屋を建てるまでになります。毎夏を彼は地中海を見下ろす小屋で過ごし、地中海でその77年の生涯を終えます。
海はあらゆる生命を生み出します。私たちを包み込む母なる存在であり、創作の源泉です。そして、水平線は永遠です。ル・コルビュジエもそんな海を舞台に女性たちや貝殻や石を描き、都市計画や住宅の設計を手掛けています。彼の創作の舞台として非常に重要であった「海」をテーマに、彼の作品をご紹介いたします。