アーレンバーグ美術館
スウェーデン人コレクター テオドール・アーレンバーグ氏がル・コルビュジエに依頼した美術館で、実現せずに終わったプロジェクト(1959年~1962年)です。
ピカソ、マティス、ル・コルビュジエの美術作品を展示するためのスペースを、ストックホルムの海上に建てるという条件の下、ル・コルビュジエは構想を練りました。その結果生まれたのが、この案です。
FLC25048A アーレンバーグ美術館 立面図 © FLC/ADAGP
海の上にピロティで支えられて建ち、陸から橋を渡って美術館に入り、スロープでまず2階に上がり、1階に下りてくる、という順路となっています。
2階は、ホール、カフェ、事務室などがあり、半分ほどは吹き抜けになっています。そして、1階は、ピカソ、マティス、ル・コルビュジエの三人の芸術家のための3つの展示室にゆるやかに分かれています。
寸法はモデュロールを生かした、2.26m×2.26mのグリッドで構成され、1階部分の外壁は主にカラフルなエナメル板で、2階はガラス面を多くすることで明るい空間を作っています。
1962年にはすでに計画案はまとまっていたが、海上につくるという計画に対して、許可が下りず、実現にはいたりませんでした。
なお、この計画案を引き継いで実現させたのが、ル・コルビュジエ最晩年の作である展示施設《ル・コルビュジエ・センター(人間の家)》であり、チューリッヒの湖畔にカラフルな姿を見せています。
ル・コルビュジエ・センター(人間の家) © FLC/ADAGP