サーカス、女性と馬

チェスの駒のように類型化された馬の横に、サーカスで鍛えられたアスリートのような女性が馬の首に腕をまわして手綱を持って立っている。しかし、その女性の髪は描かれず、表情も読み取ることはできない。生身も女性を描きながらも、あたかもロボットのような、機械時代の人物像となっている。この年、ル・コルビュジエはモスクワを訪問している。本作の裏には「Moscow」と記されており、旅先で見たサーカスの思い出を元に描かれたものと思われる。ウッチェロが「サン・ロマーノの戦い」で描いてみせた馬を思わせる陰影のつけ方である。

カテゴリー
絵画/油彩
年代
1929
技法
油彩、カンヴァス
サイズ
81.2 x 65.4
所蔵
西美寄託