さよならイヴォンヌ

『シュザンヌと太平洋』(ジャン・ジロドゥ著、1921)は、太平洋で遭難したシュザンヌが無人島で暮らし、救出されて母国に戻るまでを語った内容で、主題は女性版ロビンソン・クルーソーともいうべき作品であり、この作品にインスパイアされた油彩作品をル・コルビュジエは1930年代に制作しました。そして、妻イヴォンヌが亡くなった3日後、再び同じ絵柄の作品を描き、そこに「さよならヴォン」(ヴォンは妻イヴォンヌの愛称)と書き込んでいます。このことから、彼はシュザンヌに愛妻を重ねたと言ってよいでしょう。 ちなみに、大西洋とエーゲ海、地中海がル・コルビュジエにとって身近な海だったのに対して、太平洋は生涯渡ることのなかった海でした。

カテゴリー
絵画/油彩
年代
1957
技法
油彩、カンヴァス
サイズ
1300x960
所蔵
ル・コルビュジエ財団